「日立&三菱重工事業統合」 ドタバタ裏にヘソ曲げた「三菱金曜会」
日本経済新聞が2011年8月4日に報じた「日立・三菱重工 統合へ」のニュースは、両社が日本を代表する大手企業だけに大きな衝撃を与えた。その後どうなったのか。日経の報道姿勢に池上彰氏が苦言を呈し、それが話題になっている。
8月26日付の朝日新聞15面で、池上氏は「事情が変わったなら説明を」とのコラムを掲載した。
日本経済新聞が8月4日付朝刊で報じた“スクープ”は日立製作所と三菱重工業が経営統合に向け協議中というのだが、同日の午前9時に両社は「そのような事実はない」とのコメントを発表、日経報道を否定した。三菱重工に至っては「合意する予定もない」と不快感をあらわにしたほど。いったい、このドタバタ劇の裏に何があったのか。
「否定のコメントが出る3時間ほど前、日立の中西宏明社長は自宅前に押しかけた報道陣に協議の事実関係を認めた上で『今は言えないが、夕方に発表する。午後3時に(記者会見の)連絡をする』と言い残して、迎えに来た車に乗り込んだのです。この時点では、統合はほぼ確実との見方が強かったのですが…」(経済誌記者)
ただ、三菱重工の大宮英明社長は自宅マンションの地下駐車場から姿を現し、報道陣を振り切って走り去った。そのため真意は不明だが、前述した中西・日立社長の発言を額面通りに受け取れば、重工の大宮社長も大筋では統合に合意していたと見るのが自然だろう。
それが、一転して否定のコメントに変わったとあっては憶測を呼ばないわけがない。実際、外国通信社のロイターなどは「日立が全面統合を考えているのに対し、重工は全面統合にメリットがない。だから特定の事業分野に限定した統合を考えていたのではないか」と分析、これを引用する形で多くの国内メディアが「売上高で日立は重工の3倍ある。重工は全面統合すれば日立に呑み込まれると警戒したのではないか」と報じている。
「日経にリークした日立とすれば『これで三菱重工の外堀を埋めた』の心境でしょう。が、全面統合は重工が日立の軍門に屈することを意味する。これに危機感を募らせた面々が大宮社長を突き上げたからこそ、慌てて否定のコメントを発表したようです」(情報筋)
それもムベなるかな。三菱重工は銀行、商事とならぶ「三菱御三家」で、三菱グループの社長などで構成する「三菱金曜会」の中心メンバーである。金融関係者が喝破する。
「去年のNHK大河『龍馬伝』で三菱の祖である岩崎弥太郎を卑しい人物として扱った。これを見た金曜会の偉いさんがNHKにねじ込んだ。そんな武勇伝を持つ彼らが、今回の屈辱を許すわけがないでしょう」 この統合劇、どう転がってもひと波乱ありそうだ。

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